食用サボテン研究所

食用サボテン研究所

サボテンとめざす、
多国籍料理の新境地
〜 Pes.の岡⼭シェフにインタビュー 〜

今回は、⾷体験の可能性を求めて新たな挑戦をしつづける、Pes.オーナーシェフの岡⼭雄磨さんに、⾷材としてのサボテンとの出会いやその魅⼒について聞いてきました!
Pes.岡⼭シェフインタビュー

<岡山雄磨シェフ>
名古屋で2年間の修行後、イタリアへ2年間留学してイタリア料理に目覚める。さらに東京で3年間修行したのち、名古屋へ戻って南米料理を学び始める。そこで南米料理の楽しさや魅力を知り、イタリア料理と掛け合わせた独自のスタイルを構築。2022年11月、多国籍料理レストラン「Pes.」を名古屋でオープン。

新しい⾷材を探しているなかで、
偶然⾒つけたサボテン。

―本⽇はよろしくお願いいたします。さっそくですが、どうしてサボテンを使おうと思ったんですか?
岡山さん)
なにか新しい⾷材を使って料理を考えたいと⾷材探しをしていたときに、SNS で「太陽の葉」を⾒つけたことがきっかけです。春⽇井でつくられていると知って、地元に近いし使ってみようと思って。最初はネットで購入したんですけど、そこに同封されていた名刺やメッセージカードなどの対応の丁寧さに安心感を抱いて発注するようになりました。
―食材を選ぶとき、どんなことを大事にしていますか?
岡山さん)
日本の野菜と海外の野菜の使い分けですかね。それぞれにいいところというか、違いがあるんです。やっぱり鮮度が必要な野菜は、近隣の農家さんから仕入れるのが一番です。岐阜の高山とか、愛知の田原などから仕入れています。逆に、とうもろこしや唐辛子、ジャイアントコーンなどはペルーから仕入れています。とくにとうもろこしは甘さが控えめで、皆さんが想像している味とは違っていると思います。日本の野菜はもちろんおいしいですけど、海外の野菜にしかない味わいもあったりして、そこを考えることは結構楽しいです。
Pes.岡⼭シェフインタビュー

南米料理と
相性がいいサボテンの、
未知の可能性を信じて。

―サボテンは実際に使ってみてどうでした?
岡山さん)
食感がよくて適度な酸味があるところが特徴ですよね。わりと主張がある味なので南米料理などのエスニックな味ととても相性がいいと思います。たしかはじめてサボテンを使ったのはソースで、ハチノスや唐辛子と煮込んだりなど試作を繰り返して使い道を徐々に広げていきました。串料理の上に乗せてみたり、直火で焼いたりフライパンで焼いてみたり、いろいろとやりましたね。サボテンを使って大会に出場したりもしていたので、どう活かすかはかなり時間を使って考えました。サボテンはまだまだ大きな可能性を秘めていると思います。
―同じ“焼く”でも、いろいろなパターンがあるんですね。今はどんなメニューに使っていますか?
岡山さん)
セビーチェというメニューです。ペルーの郷土料理で、ライムやレモンの果汁と唐辛子でマリネして、魚と合わせることが多いです。そこに加える野菜の一つとしてサボテンを使っています。セビーチェは決まった形がないので、たとえば夏は、サボテンを角切りにして鰹や梨、きゅうり、ミョウガと和えたものを出していました。
Pes.岡⼭シェフインタビュー
Pes.岡⼭シェフインタビュー

CHEF-1グランプリで確かめた、
自分とサボテンの可能性。

―CHEF-1グランプリ、TOP5入りおめでとうございます。感想を聞かせていただけますか?
岡山さん)
大会の存在は妻が見つけてくれて知ったんです。こういった大会への出場経験が少なかったので大変なことも多かったですが、自分の可能性を確かめることができると思って出場を決めました。前身の大会をテレビで見たことがあって、おもしろそうだなと思ったのも理由の一つです。実際出てみて、自分の実力をシンプルに測られるとても貴重な機会だと感じました。日本にいる料理人のなかで自分がどれくらいの位置にいるのかが知れるんです。また、3次予選は東京で開催されたので、勝ち進んできたプロフェッショナルの方々とお話ししながらいろんな考えを聞くことができました。情報交換がたくさんできたり、今でも交流のあるシェフが何人かいたり、そういった面でも特別な大会になったと感じます。
Pes.岡⼭シェフインタビュー
―先ほどのお話にもありましたが、サボテンを使った料理で勝負してくださったんですよね?
岡山さん)
そうです。「ちまき」で挑みました。タマレスという、とうもろこしの粉を練り合わせてバナナの葉で包んで蒸しあげる南米料理があるんですけど、これをもとに日本人好みにするためにお米に変えようと考えていて、そこからちまきを南米スタイルで出せたらおもしろいかもと考案しました。サボテンと鶏肉、オリーブ、キャッサバといった具材を入れて、唐辛子のソースで食べる料理です。
Pes.岡⼭シェフインタビュー
岡山さん)
大会というのは、おいしい料理を出すだけでは勝てないんですよね。サボテンはまだ食材としては世に出回っていないので注目を集められますし、南米料理と相性がいいのでこのシナジーをうまく引き出せたら、審査員の方々を驚かせられるんじゃないかと考えました。
Pes.岡⼭シェフインタビュー

各国の文化や歴史を尊重し、
現地の情景が浮かぶような
料理をめざす。

―最後に、今後挑戦したいことを教えてください!
岡山さん)
南米の国をもっと深掘りしていきたいと思っています。ペルーはもちろん、あとはアルゼンチンとか。文化をしっかり理解して料理に落とし込みたいですね。Pes.のスピリットに、各国の文化や歴史を尊重すること、背景のストーリーを把握することがあります。現地の情景が思い浮かぶような料理をめざしていて、サボテンはやっぱりイメージしやすいですし、今後も一緒に使っていけたらいいなと思っています。月替わりくらいでメニューを変えているので、その都度サボテンの新しい可能性を探っています。アイスにするのも良さそうですよね。
Pes.岡⼭シェフインタビュー
岡山さん)
それと、サボテンを知ってもらうきっかけの1人になりたいとも思っています。まだサボテンが食べられることを知らない人もいますし、まずは知ってもらうことからだと思うんです。知らないものをいきなり使うことはハードルが高いと思うので、私たち料理人が使っていくことで、ノーマルな存在にできるのではないかと考えています。
―ありがとうございました。サボテンの可能性が広がっていくことがとても楽しみです。
岡山さんのこれからのご活躍を応援しております!
Pes.

2022年11⽉に名古屋でオープンした、イタリア料理と南⽶料理の掛け合わせが楽しめる新感覚レストラン。各国の⾷⽂化の背景にあるスピリットやストーリーを尊重しており、⼀⽫⼀⽫は独⽴しながらもコース内で多国籍な掛け合わせを味わえます。

  • 住所:〒451-0045 愛知県名古屋市西区名駅2丁目14-13 west M bill 1F
  • 営業時間:18:00~22:00
  • 定休日:日曜日
  • TEL:052-433-1996
  • Offcial site> https://pes-restaurant.com/
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